1980年代以降に有名歌手の方に何度もカバーされた「コーヒールンバ」という曲があります。その中に「南の国の情熱のアロマ それは素敵な飲みもの コーヒー モカマタリ」という一節があります。モカマタリとは、イエメンで収穫されたコーヒーの事をさします。
イエメンは世界で最も古いコーヒー生産国のひとつとされており、スーフィ教の神秘主義者たちが夜通し眠らずに瞑想やお祈りをするためにコーヒーを飲んでいたと言われています。
“モカ”という名前は、世代によって懐かしさや郷愁を誘う何かを感じます。現在のコーヒーファンに“モカ”の話をするとエチオピアのコーヒーのことですよね?という返答が返ってくると思いますが、50代中盤のオールドファンにとっては中東、イエメンのイメージが強いです。
丸山珈琲では1991年に創業したときから自家焙煎しておりましたが、当時、イエメン・モカの生豆はブルーマウンテンに次いで高額でエチオピア・モカの2~3倍したと思います。
イエメン・モカの味の特徴は、リキュールのようなフルーティーさ、シナモンやナツメグなどを思わせる甘いスパイスの風味です。ですが、1990年代辺りはコーヒー豆の精製状況、保管、輸送状態が整っていなかったために、発酵感が強すぎたり、カビの匂いがしたりとネガティブな味わいを有していることも少なくありませんでした。
2020年前後からは、きれいな味わいのイエメン・モカが出てくるようになりました。2024年12月より発売中のイエメン モクタール・アルカンシャリ ナチュラル 中煎りは、イエメンにルーツがあるアメリカ在住のMokhtar Alkhanshali (モクタール・アルカンシャリ)さんがプロデュースしたロットです。
モクタール・アルカンシャリさんは、イエメンの歴史あるコーヒー農園を営む一族の出身で、イエメン、ブルックリン、サンフランシスコを行き来して育ちました。2014年ごろモクタールさんはイエメンのコーヒー農家としての自身のルーツに注目し、国際的なコーヒー市場から忘れられようとしていたイエメンのコーヒー栽培を復興するため、ポート・オブ・モカ社を設立しました。
ポート・オブ・モカ社はイエメンのコーヒー農家と一緒になってコーヒーの品質向上や彼らの生活の改善に取り組んできました。
2020年には、アルカンシャリⅠ~Ⅳの4つの農園からなるアルカンシャリ・エステーツのプロジェクトを立ち上げました。中でもアルカンシャリⅠ農園では、モクタールさん自身がコーヒーの栽培から精製までの工程を自ら監修し、こだわりのコーヒー作りに取り組んでいます。
アルカンシャリさんの味の特徴はラムのような風味や、甘いシナモンケーキのような味がします。飲み進めていくうちに甘みが強くなっていく感じです。
丸山珈琲ではなかなか取り扱うことの少ない生産国、「イエメン」のコーヒーです。
風味は他の生産国ではあまり感じられない、異国情緒漂う洋酒や甘いスパイス、青茶(ウーロン茶)のような魅惑的なアロマが漂います。味わいはフルーツや黒糖を思わせる奥深く複雑な味わいです。ぜひエキゾチックで風味豊かなイエメンのコーヒーをお楽しみください。
80g/4,125円(税抜) 4,455.00円(税込)
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カップ・オブ・エクセレンス国際審査員
ACE(エース)(Alliance for Coffee Excellence Inc.)名誉理事
2004年にSCAE(ヨーロッパ スペシャルティコーヒー協会)若手起業家賞受賞
1991年に軽井沢にて丸山珈琲創業。2001年からは、バイヤーとして世界各地の生産地訪問を開始し、自ら厳選した豆を買い付ける。
また、数々のコーヒー豆品評会、審査会における、国際審査員(カッパー)として世界的にも活躍。